私道はトラブルが多い?
トラブルが多いのが「私道」です。
売却する土地が私道に接している場合、その土地の買主は接する私道の通行許可及、掘削同意(上下水道を整備するために掘削するための同意)を得るか、私道の持ち分を取得しなければ、その私道を通行することも、掘ることもできません。
普通に考えたらお互い様なのだから、簡単に承諾してくれそうな気がしますが、現実はそんなに簡単ではありません。
そして、買主にとっては大きな問題のため、「この同意が取れない場合、白紙解約」という特約を売買契約書に入れてほしいと要望してくることが少なくありません。
ある事例では、9人の私道所有者がいましたが、その接している私道の持ち分の一部を売ってほしいと交渉しました。
しかし、その内の一人がどうしても首を縦に振ってくれません。他の私道所有者は、その方の顔色を窺っていました。
そして、「私が持ち分の一部を売ったとわかれば、後から何を言われるかわからないので」とその方を怖がっているという状況でした。
私道の持ち分を取得できなければ、9人全員から通行と掘削に関する同意を得なければなりません。このように、私道は複数の人間の「人間関係」が複雑に絡んでくるのでやっかいです。
また、同意を得ようにも、私道の所有者が行方不明など、今どこにいるのか、生きているのかどうかすらわからない場合もあります。
ある事例では、400坪ほどの土地が接している道路が私道だけでした。
この土地を開発するには、その私道所有者の「同意」が必要です。
そして、二人いる私道所有者のうちの一人が行方が不明でした。
県内にいるのか、県外にいるのか、海外にいるのか、情報がなくわかりません。
八方手を尽くして見つけ出さなければ、私道の通行許可と掘削同意を得ることはできないのです。
「役所にいけばわかるだろう」と思われるかもしれませんが、このような場合、隣人の所在地等に関する情報は個人情報にあたるので、教えてはくれません。
したがって、隣人の探索のために、大変苦労しました。結局、この事例では県外のとある病院にいるとの情報を得て、スタッフが会いに行きましたが、すでに亡くなっていました。
さらに、その相続人の配偶者や子ども達が相続放棄しました。
このように、私道に関する問題は一筋縄でいかず、時間が読めない部分があります。このような問題を「買主任せ」にした場合、リスク分が差し引かれ、価格が安くなってしまうことは、容易に想像がつくのではないでしょうか。
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