不動産取引は「交渉」

不動産取引は「交渉」

不動産取引は「交渉」です。

 

売主は「少しでも高く売りたい」「たくさんの人に検討してもらいたい」「自分達に有利な条件で売りたい」と考えます。

 

一方、買主は「少しでも安く買いたい」「競争せずこっそり買いたい」「自分達に有利な条件で買いたい」と考えます。

 

言っていることはまったく「逆」です。その状況で「交渉」を進めると、どちらの言い分が勝るのでしょうか。

 

基本的には、「交渉」は立場が強い方が優位に立ちます。

 

相手の立場が強く、こちらの立場が弱ければ、相手の条件をのまざるを得ないかもしれません。

 

いくらこちらが「こうしてほしい」と言っても、「それなら結構」と断られてしまったら交渉は成立しません。

 

ここで、弱い立場にいる人を「ヒツジ」、強い立場にいる人を「オオカミ」に例えてみます。

 

不動産取引においては売主、買主はどちらが「ヒツジ」、どちらが「オオカミ」になるのでしょうか。

 

まず、売主から考えてみます。

 

多くの売主にとっては、不動産を売るという経験は人生に一度あるかないかの出来事です。

 

つまり、経験がほとんどありません。

 

そして不動産に関する知識や情報もあまりないというのが現実です。

 

さらに、多くの場合、何かしらの理由があって売る場合がほとんどです。

 

それは相続税の納税であったり、借入金の返済であったり、相続人で公平に財産を分けるためであったりします。

 

つまり、時間に制約があり、精神的にもあまり余裕がない場合が多いわけです。

 

このように、経験や知識、情報があまりなく、さらに時間的、精神的な余裕もあまりない状況と仮定するなら、立場が弱い「ヒツジ」となってしまう可能性があるということは領けると思います。

 

では、買主はどうでしょうか。まず、買主が個人の場合、「人生で初めて不動産を買う」という人がほとんどです。

 

その場合、経験や知識、情報があまりないという意味では売主と同じです。

 

しかし違うのは、時間的、精神的な余裕です。

 

「物件も価格も魅力的なら買いたい」という立場であればどうでしょうか。

 

無理してまで、高値を出してまで買うでしょうか。

 

「時間をかけて、ゆっくり探そう」というスタンスであれば、「この金額なら買いたい」と指値をしてくるかもしれません。

 

ただ、取引における力加減のバランスはまだ取りやすいといえます。

 

次に、買主が個人ではなく戸建分譲会社やマンションデベロッパl等のプロの法人である場合は、毎年のように何件も不動産を購入していることがほとんどです。

 

したがって、不動産取引の経験も知識も情報も、売主よりはるかによく知っているといえます。

 

一方、買主が「個人」であれ「法人」であれ、売主にとっては、売却する不動産を買ってくれる買主の存在はとてもありがたいものです。

 

「ぜひ買わせていただきたい」と言われたら嬉しいものですし、ほっとします。

 

売主の希望価格で買えるように一生懸命努力してくれるかもしれません。

 

しかしながら、冒頭にもお伝えしましたが、不動産取引は「交渉」です。

 

買主も「できるだけ安く買いたい」わけです。

 

多くの場合、売主は売れないと困ります。

 

しかも、早く売れないと困る場合も多いわけです。

 

そのような状況であれば、買主が経験、知識、情報があまりない「個人」に対しても、経験も知識も情報も豊富な「法人」に対しても、あまり強い立場ではいられないというのは容易に推測できると思います。

 

問題はここからです。

 

一般的に、売主と買主が直接交渉することはありません。

 

実際の取引の多くの場合、売主と買主の聞に「仲介会社」が入ります。

 

ポイントは、売主が買主より立場の弱い「ヒツジ」とな買主と対等の立場となれるか、はたまた買主より立場が強い「オオカミ」となれるかは、その聞に立つ「仲介会社」次第だということです。

 

つまり、仲介会社が売主側と、買主側のどちらの側に立って取引を進めるのかということです。

 

ここが運命の分かれ道です。

 

一般的に、仲介会社は、取引が成立しなければ、どれだけ動いても「無報酬」です。

 

そうすると、「取引が成立すること」を優先せざるを得ない傾向があります。

 

では、「取引が成立すること」を優先したとすれば、その仲介会社は売主側と買主側のどちらに立った方が、取引が成立する可能性が高いのでしょうか。

 

結論からいえば、仲介会社は「売主」「買主」の側に立つことが多いのです。

 

なぜそもそも不動産取引においては、買主側が「買う」と一言わない限り、契約は成立しません。

 

契約が成立しなければ、仲介会社にはI円もお金が入ってきません。

 

売主と買主との交渉では、以下のような3通りのパターンが考えられます。

 

1.買主に、売主が提示している価格や条件を受け入れてもらう

 

2.売主に、買主が提示している価格や条件を受け入れてもらう

 

3.双方が歩み寄る(間を取る)

 

このように3つの選択肢がある場合、売主としては1の方向で話を進めることを希望します。

 

しかし、買主には「できるかぎり安く買いたい」「自分達にとって良い条件で買いたい」という心理が働きます。

 

そのため、あっさりと売主側の提示する価格や条件を受け入れないのが現実です。

 

交渉を通して両者の希望を調整することになります。

 

ここで仲介会社が恐れることは、買主に「こちらこのように3つの選択肢がある場合、売主としては1の方向で話を進めることを希望します。

 

条件を受け入れてくれないなら、他の案件を検討するので、この不動産の購入はやめます」と言われることです。

 

すると仲介会社は「では、売主の方に交渉してみましょう」と、2の方向性で取引を進めようとします。

 

つまり、売主に議歩してもらおうとするのです。

 

そして売主を説得しようとします。

 

なぜなら、買主より売主の方が説得しやすいからです。

 

「希望者がたつた一人しかいない場合」はさらに厄介です。

 

購入希望者がたくさんいれば、ただ一人の買主に「NO」と言われでも、売主に価格や条件を下げるなどの譲歩を求めないかもしれません。

 

他の希望者に売ればよいのです。

 

しかし、買主が他にいなければ、不動産仲介会社は「より高値で売ること」よりも、「確実に成約させること」を優先するかもしれません。

 

また、不動産の購入において、プロの法人である買主は仲介会社が紹介する不動産を何回も買ってくれることは意外に多いのです。

 

しかし、売主が不動産を売ってくれるのは、ほとんどの場合一度限りです。

 

すると仲介会社としては、売主よりも、何回も買ってくれる(H利益をもたらしてくれる)「お得意さん」である買主の方をより大切に扱うことになります。

 

それを責めることはできません。

 

そのため、買主の希望を優先して取引を進めることになる傾向があるのです。

 

すると仲介会社としては、売主に条件を譲歩してもらえるよう、説得にかかってくるかもしれません。

 

仲介会社に、

 

「この不動産は、前の道路が狭い」

 

「駅から速い」

 

「周りの環境がよくない」

 

「リーマンショック後、2割ほど価格が下がっている」

 

「この買主を逃すと、1000万円以上損することになりかねません」

 

「散々当たりましたが、今のところ他に良い買主はいません」

 

と、ネガティブな面を並べて説明されると、売主は「ここで欲張って希望価格や条件に執着すると、取引が失敗するかもしれない」「譲歩したほうが確実に売却できるかもしれない」と納得して、価格や条件を下げてしまうかもしれません。

 

このように、売主と買主の聞に立つ「仲介会社」が買主の側に立ってしまった時、売主が立場の弱い「ヒツジ」、買主が立場の強い「オオカミ」となってしまいます。

 

売却するパートナーを選ぶ際には、売主側に立ってくれる仲介会社を選びたいものです。

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